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社会
古着の多様化:リメイク・アップサイクルで広がる循環型ファッション
古着を選ぶ人が増えた今
古着には、「安い」「個性的」「一点もの」といったポジティブな印象から、「衛生面が不安」といったネガティブな印象まで、さまざまなイメージがあります。近年では、ファッションを楽しむ選択肢のひとつとして、古着がよりポジティブに受け止められるようになっています。その背景には、環境への配慮やサステナビリティ志向の高まりがあります。
衣類の大量生産・大量廃棄が社会問題となる中、「すでにある服を大切に着ること」や「リユースを選ぶこと」が、環境負荷を減らす行動として広く認識されるようになりました。こうした流れを受け、古着にはこれまでの「安さ」や「一点ものの魅力」に加え、「サステナブルで安心な選択肢」という新しい価値が加わりつつあります。
実際に、古着市場は拡大傾向にあります。リユース経済新聞によると、日本のリユースファッション市場は2024年に初めて1兆円に達し、前年の9,569億円から拡大しました。こうした市場拡大や消費者意識の変化を背景に、ブランドや企業は古着を「単なる中古品」として販売するのではなく、新しい価値を与えて再流通させる取り組みを積極的に進めています。
(リユース経済新聞「リユース業界の市場規模推計2025(2024年版)」より)
古着に新しい価値を与える取り組み
拡大する古着市場の中で注目されているのが、「古着に新しい価値を与える」取り組みです。これは単に状態の良い古着を販売するのではなく、ひと手間加えることで新しい魅力や役割を持たせ、次の持ち主へつなげる工夫を指します。
大きく分けると、次の二つの方法があります。
・リメイク:補修や染め直し、装飾などで古着に新しい魅力を加えること。
・アップサイクル:古着を素材として再利用し、新しい製品の原料や別のアイテムへと生まれ変わらせること。
こうした方法は、古着の価値を高め、次の持ち主に届けるだけでなく、ブランドや企業が取り組む持続可能なファッションの方向性を具体的に示すものです。では、実際にどのような事例があるのか見ていきましょう。
リメイク事例:UNIQLO
UNIQLOは「UNIQLO 古着プロジェクト by RE.UNIQLO」を通じて、店頭で回収した古着に洗浄・染色加工を施し、ヴィンテージの風合いを加えたリメイク商品を展開しています。これらはポップアップストアを中心に販売され、古着を魅力的な商品へと生まれ変わらせています。
さらに、公式補修サービス「RE.UNIQLO STUDIO(リ・ユニクロスタジオ)」では、修理や刺し子で製品寿命を延ばすだけでなく、服の持ち主がリペアやリメイクを通じて“愛着を深めながら長く着る”という体験価値も提供しています。
こうした施策によりUNIQLOは、古着をただ再利用するだけでなく、品質の信頼に加えて、デザインや体験の新しい価値を生み出しています。
リメイク事例:京都紋付
京都紋付は、衣類を伝統的な染色技術で深い黒に染め替えるサービス「KUROZOME REWEAR」を提供しています。「もう着られないけれど捨てるのはもったいない」という思い入れのある服を、黒で美しく生まれ変わらせることで再び愛用できる一着にしています。このサービスは、顧客が自分の服を送り、染め直してもらう“参加型”のリメイク体験でもあります。さらに、アパレルブランドや百貨店と提携し、店舗から黒染サービスを申し込める仕組みも展開しています。
リメイク事例:somete
someteは、全国約40の工房やクリエイターと連携し、洋服の「染め直し」サービスを提供しています。藍染や珈琲染めなど多彩な技法を用いて、顧客が手持ちの服を世界に一つだけの一点物へとアップデートできるのが特徴です。単なる色の変化にとどまらず、染め直しという体験そのものが付加価値となり、服への新しい愛着を生み出しています。
アップサイクル事例:JEPLAN
JEPLANは、回収した古着からポリエステル繊維をケミカルリサイクルし、再び新しい服の原料へと循環させています。ケミカルリサイクル技術を活用すれば、服は何度でもリサイクルすることが可能であり、リサイクルによって生まれた服をさらにリサイクルすることもできます。従来は廃棄されるはずだった衣類を、「未来の服づくりのスタート地点」へと変える取り組みとして、循環型ファッションの実現を牽引しています。
古着の多様化とこれから
古着市場は年々拡大を続けていますが、その一方で古着屋の廃業も目立ちます。古着ブームを背景にした新規開業の増加は競争の激化を引き起こしました。さらには家賃・人件費の高騰、オンライン販売による顧客の分散なども経営を厳しくしています。だからこそ、単に古着を販売するのではなく、リメイクやアップサイクルといった、古着に新しい価値を与える取り組みが広がり、古着の多様化が進んできました。
今後は、技術革新によるリサイクルの高度化、伝統技術を生かした再生の取り組み、そして「着られなくなった服を工夫して直し、もう一度着る」という体験価値が組み合わさることで、古着は単なる「中古品」という枠を超え、新しい意味を持つ商品カテゴリーへと成長していくでしょう。
さらに欧州では、生産者が繊維製品の回収・選別・リサイクル費用を負担する制度が採択されるなど、循環型経済への移行が加速しています。こうした国内外の動きを踏まえれば、古着の価値向上や持続可能な取り組みの重要性は今後ますます高まっていくと考えられます。
(繊研新聞社「リサイクル費用を生産者負担に 欧州議会が指令」より)
サーキュラーエコノミー推進のための、在庫再販パートーナーFINE
循環型ファッションの動きは、古着の枠を超えて広がっています。FINEが取り組む「Rename」は、廃棄される可能性のあるアパレル在庫にタグを付け替えて再販売し、これまで届かなかった服を多くの人へ届けます。アップサイクルの形のひとつでもあります。FINEは服の本来の価値を活かした再流通で、サーキュラーエコノミーを推進し、アパレル業界全体の持続可能な取り組みの多様化にも貢献しています。
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