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「繊維廃棄物」は、もうゴミではない。アップサイクルで新たな価値を持たせる。

2020.02.28

アップサイクルで「新たな価値」を持つ繊維廃棄物

衣料品廃棄が深刻化する中、生産過程で余った生地や繊維くずなど、まだその価値を活かせるものまでが廃棄されている残念な現状があります。

そこで近年、各生産現場での繊維廃棄に対しても、改善への意識が高まってきています。難易度の高いリサイクル技術のみでなく、余った生地や繊維くずを再利用し新たな価値を持った製品として生まれ変わる「アップサイクル」が注目されています。

※アップサイクル…廃棄物や不良品の形状や特徴を活かしつつ、より良いものにつくり変えること。廃棄物を原料に戻して再利用するリサイクルとは、「元の商品に付加価値を与えて新しい商品にしている」点で異なる。
(関連記事:FINE MAGAZINE「アップサイクルでサスティナブルなアパレル流通を目指す」

アパレル産業の無駄をなくす

余った生地85%は廃棄される現状

衣服のために大量の生地がつくられます。しかし、「生地の色・質感に相違があった」「過剰につくりすぎた」などのさまざまなミスにより、未使用となった生地が倉庫に保管され、後に破棄されます。

生産された生地が衣服となるのは15%で、残りの85%の余った生地は焼却・埋め立て処分されているのです。本来、利用可能なものがゴミとして扱われることで、環境や労働にも多大な負荷がかかっています。
(Ethical Fashion Japan「アップサイクルについて」より)

リサイクルをするか?アップサイクルをするか?

繊維廃棄の解決策としてリサイクルが活発になってきましたが、2種類以上の繊維が混ざってできた「混紡繊維」を分離することは未だに難しいのです。近年では、H&M FoundationとHKRITA(香港繊維アパレル研究開発センター)が共同し、分離が困難とされていたコットンとポリエステルからなる混紡繊維のリサイクル技術を確立させました。このように技術は進化していますが、時間やコストも多大に消耗していくリサイクルの推進には依然進みにくいのが現状です。

そこで着目されるのがアップサイクル。余った生地や繊維くずを用いて、衣服や靴、鞄などのさまざまな製品をつくり廃棄を削減します。特殊なリサイクル技術は不要なので、時間もコストも抑えて生地のライフサイクルを伸ばしていくのに効率的な手法かもしれません。
(FINE Magazine「普及が困難なアパレルのリサイクル、今後どうなっていく?」より)

海外の繊維廃棄への取り組み

FINE magazineで以前紹介したアメリカの「Fabscrap」のように、不要な布を回収して販売するサービスが海外では増加してきています。

ブラジルで開設された「布の銀行」
2015年に開設された「バンコ・デ・テシード」。使用されなくなった布地をこの団体で査定してもらい、査定額を貯蓄していく仕組みとなっています。貯蓄した金額で布地を購入することも可能。集まった布地はアップサイクルやオンラインなどで販売されています。また、不定形な端切れは、貧困エリアでのサポート活動に利用してもらうためにNGOに寄付され、廃棄を出さずに循環する仕組みを提供しているのです。

デザインに魅了される海外アップサイクルブランド

トレンドでない柄の生地や布の端切れを使ったアップサイクルの服に、どのようなイメージがありますか?
再利用で生産された服もデザイナーの縫製技術によって、デザイン性の優れたものへと変化します。欧米では、アップサイクルの服のブランドが次々と展開されており、どのブランドもこだわり抜いた生産をおこなっています。

zero waste daniel

ニューヨークのデザイナー、ダニエル・シルバースタインによって設立されたブランド。生産過程などで出た生地の切れ端や残布を、独自の縫製技術によってTシャツ、スウェットなどにつくり変えています。ユニークな感性でつくられた服のデザインは、元は廃棄物だったとは思えないほど芸術性に富んでいます。
「zero waste daniel」HP

id

アンナとケテヴァン母娘がイギリスで展開するブランド。「廃棄物ゼロ」にコミットし、ヨーロッパ全土から調達した最高品質の余った生地から服をつくっています。また、小ロットやオーダーメードで生産することで、過剰な在庫を持たないことにも取り組んでいます。
「id」HP

Reformation

ロサンゼルス発、ウェディングドレスなども手掛けているReformation。環境負荷を軽減するために、エネルギーや水の使用に対し、厳格な独自の基準を設けて生産をおこななっています。また、リサイクル繊維などを用いて製造されていますが、製品の15%近くがデッドストックの生地(余剰生地)からつくられ、約2~5%は古着からもアップサイクルされたものです。
「Reformation」HP

insecta

insectaの創業者バーバラは、「環境に優しい製品は美しくない」という、エコなデザイン性に対するマイナスイメージを払拭した製品をつくりだします。古着やデッドストックの生地、リサイクルされたゴムなどを再利用し、デザイン性に優れた靴を製造しているブランドです。既存のものの寿命を伸ばし、より社会的にも環境的にも貢献できる製品を生みだすことを掲げています。
「insecta」HP

廃棄物をリデザインすることで服のライフサイクルを伸ばす

消費者よりも生産現場から多量に出る繊維廃棄物。「トレンドではないから」「需要が低いから」という今までの生産側の都合による廃棄は、容認されなくなっています。アップサイクルブランドをみると、トレンドではないそれぞれの独創性が評価されており、より個人の好みに合う服が消費されることで、長く着用される流れをつくることが大切な気がします。使われなくなった生地をリデザインし、需要があるところへ届ける。これだけで無駄を削減し、新しい価値を生みだすことができるのです。

Renameでもアパレル産業で無駄となっていた部分に着目し、アップサイクルプロジェクト「Rename X」(参考:「服をえらぶ”新しい理由”をつくる。アップサイクルプロジェクト「Rename X」スタート!総合アパレルメーカー クロスプラスと共同で」)を始動。余った生地を使用し、日常で着用しやすいデザインを展開しています。デザイン性のみでなく、環境・社会に配慮した服に対する価値観のエッセンスを織りまぜ、快適な服を提供します。

 

執筆=流郷 裕子
編集=中原 愛海

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