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CSV(=共有価値の創造)とアパレル業界 – ESG投資だけが理由ではない、求められるブランドとしてのあり方

2019.03.13

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近年、注目を集めている企業のCSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)。企業が経済的に成功するための新しい手法です。

CSVの注目にはESG投資という概念が深く関わっています。
ESG投資は、ESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=企業統治)に配慮している企業を選別して行う投資。ESGを推進している企業は将来的に企業価値が高まるという考えに基づいており、こちらも注目が集まっています。環境問題とも関係が深いと言われるアパレル・ファッション業界。こうした背景の中、その取り組み方や姿勢は、ブランド価値に影響する要素にもなると考えられます。

・ESG投資が重要視される理由
・ESG投資と関連づけられるCSVとCSRの違い
・実際にCSVに取り組む「パタゴニア」企業の事例

今回は以上の3つを見ていきます。

なぜESG投資の重要性が高まっているのか

ESG投資の重要性の高まりにはSDGsが関わっています。SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された世界の課題を解決する17の開発目標です。
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画像:国際連合広報センター『SDGs』配布ロゴ

近年、グローバル企業を中心にSDGsへ取り組む機運が高まっており、企業の動向を追う投資家の間でもSDGsは重要キーワードとして認知されつつあります。SDGsを自社の事業と関連付けて取り組むことで、企業は発展するという考えも生まれました。というのも、環境・人権・エネルギーなどの課題解決につながるサービスは世界的ニーズも高まっており、事業として利益を得ることも可能になったと考えられるようになったからです。

そのため、ESG投資家のステークホルダーが企業価値を評価する際、このSDGsへの取り組みを指標とする傾向も高まっているとも言われるようになりました。

ステークホルダーとは……企業の経済活動に関わる利害関係者。消費者、従業員、株式、取引先、地域社会、行政機関などを指す。

企業の理想的なあり方「CSV」の、「CSR」との違い

まず、CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)とは、企業が環境・社会的課題の解決に取り組むことで、ステークホルダー(※)と良好な関係を築くための活動を指します。

それに対し、CSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)は企業が環境・社会的課題に取り組むことで、事業価値をつくる活動を指します。

CSRとCSVの違いは「事業との相関性」にあります。CSRは社会課題の解決を目指す活動であれば、企業の事業とは関係なくても当てはまるのに対し、CSVは企業の事業そのものでの社会課題の解決を目指します。たとえば、TOYOTAがガソリン車の代替品として、ハイブリッドカーのプリウスを開発し、環境負担を減らすことはCSVに当てはまります。

社会貢献・環境保全を事業と結びつけ、経済的価値も創造できるCSVはすべての人にとって理想的な企業のあり方ではないでしょうか?

CSVに取り組む大手企業2社の事例

CSVのリーディングカンパニー『ネスレ』

創業時、『ネスレ』が開発した高栄養価の乳幼児用食品は、ヨーロッパで栄養不足の多くの乳幼児を救いました。現在に至るまで社会課題をビジネス チャンスにして発展しています。

日本初CSVの本部設立で注目を集めた『キリン』

近年、話題になったのは『キリン』初のCSV商品「氷結」の和梨味。東日本大震災で風評被害に 苦しんだ福島産の梨を使い、1本売り上げるごとに1円が東北農業の震災復興支援策に活用されました。

アパレル・ファッション業界のCSV事例

では、アパレル・ファッション業界でのCSV事例は、どういったものがあるのでしょうか。

アパレル業界でソーシャルインパクトを出し続ける『パタゴニア』

実はアパレル業界は先進的な取り組みを行っている企業も多く、その中心にあるのがアウトドア・スポーツウエアを販売する『パタゴニア』です。

『20年前、我々は、財政的に大きなリスクを取ってコットンの全量をオーガニックに切り替えた。だが、そう決断したからこそ、事業についても環境についても考えが大きく変わった。環境問題は解決がとても難しいこともわかったし、それでもなんとかしようとすれば金銭的に報われるということも分かった』
パタゴニア創業者:イヴォン・シュイナード著書『社員をサーフィンに行かせよう – パタゴニア創業者の経営論』より抜粋(画像はイメージです)

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『パタゴニア』は環境危機の解決に資する事業や、ファッションの持続可能性に常に力を注いできました。近年話題になったのは2016年の「ブラックフライデーの売上を全額寄付する」という大胆なプロジェクトです。

『パタゴニア』のサスティナビリティに対する先進的な呼びかけは社会に大きなインパクトを与えました。それが売上やファンの獲得に繋がり、より強いブランドになるのです。ソーシャルインパクト(※)を出しつづけることが使命と考える『パタゴニア』。「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」を経営理念とし、CSVへ積極的に取り組むその姿勢は多くの企業に影響を与えています。

ソーシャルインパクトとは……企業が、CSVを通じて社会におよぼす影響力。

CSVへの新しい取り組み方 -服の新しい価値の創造を目指す『Rename』

FINEのRenameはブランド価値を守るため、ブランド名を表示せず再販するしくみです。ブランドネームタグ(襟ネーム)や洗濯表示タグ(内タグ)などを付け替えて販売することにより、ブランド価値を守りながら服の新しい価値の創造を可能とします。

ブランド価値の毀損を理由に廃棄されていた在庫を減らし、廃棄コストを削減。在庫の換価も可能です。焼却処分時のCO2による環境負荷もなくせるなど、環境・社会・企業にとって多くのメリットがあります。

FINEはこのRenameがCSV、SDGsの活動のひとつになると考えています。

(編集:中原 愛海)

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