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小売業を救う!米国オフプライス企業の強さの秘訣
小売業の二次流通がアパレル市場で成長中
小売業の過剰在庫問題が深刻化する中で話題になっている、オフプライスという二次流通の業態をご存知ですか?
オフプライスとは、最終在庫・過剰在庫となったブランド品などを買い取り、正規価格や卸売価格から割引して価格設定すること。Renameもこの業態に当たり、メーカーやブランドの在庫を低価格で販売しています。
日本での認知はまだ低いものの、米国ではオフプライス事業がここ数年で飛躍的に成長しており、アパレル市場でも強さを増しています。今回、米国企業の強さの秘訣と今後の成長についてご紹介します。
成長の秘訣は消費者ニーズへの迅速な対応と顧客体験の向上
①消費者へのニーズに迅速に応えることが可能
オフプライスのビジネスモデルの強みは、消費者のニーズに柔軟かつ迅速に対応できることと言われています。ファッショントレンドや予測不可能な天候の変動によって、ニーズが大幅に変化しやすいアパレル市場。年中通して多様な商品を低価格で提供できるようになると、安定して消費者の購買意欲を損なわずに売上も維持できるのです。
そのうえで重要になってくるのがアパレル在庫の調達。オフプライス企業は適切な価格で適切な在庫を効果的に調達することで、スピーディーに購買ニーズを満たせているようです。このように、トレンドに関係なく常に消費者のニーズがあるものを的確に低価格で提供できる点がオフプライス企業の強みです。
②「宝探し」のようなユニークな購買体験を提供
また、オフプライス企業が提供しているものは低価格な商品だけではありません。刺激的な購買体験も、消費者からの支持が高い要因になっています。宝の山のようにさまざまな商品が並ぶ店舗内で、気に入る商品を掘り出していくように買い物を楽しむ。この新鮮で刺激的な体験を生み出すことで、消費者の購買意欲をより高められています。
また、実店舗での体験だけでなく、eコマースも活用したコンテンツの発信も実店舗への来店意欲を高め、販促に繋がるようです。(コンサルティング会社AAreteのディレクターによる)
米国オフプライス企業の事例
大量消費国である米国こそ、過剰在庫を処理する課題が深刻なのかもしれません。そんな米国には数多くのオフプライス企業が存在しており、その中でも成長し続けている注目の企業を紹介します。
TJX
ティージェーエックスは、世界中に3,800を超える店舗を展開し、米国最大の低価格小売店。1976年に設立された同社は、世界で最も有名な低価格ビジネスの1つであり、330億ドルを超える収益を誇る企業です。同企業の成長の秘訣は、ニッチな顧客層へのアプローチや、掘り出しものを見つけるような「トレジャーハント(宝探し)」型の購買体験を確立できている点です。
Ross stores
ロスは、米国で2番目に大きなオフプライス小売業者。37州に1,500を超える店舗を持つロスは、ティージェーエックスよりも小規模なビジネスでありながら、同様の安価な小売ビジネスモデルで成功を収めています。ロスはSNSなどでのオンラインのプロモーションにも力を入れており、ブロガーやWebサイトを活用したキャンペーンなどもおこななっています。最近では、購入したものを#yesforlessのハッシュタグとともに投稿してもらうなど、顧客とのコミュニケーションにも注力しているようです。
Burlington Stores
バーリントンは、2018年時点で米国に675店舗展開。ティージェーエックスやロスよりも認知度は低いものの、確実に顧客数を増加させているオフプライス企業です。バーリントンは、小さいサイズや大きいサイズなどの特別なサイズ展開や、妊婦用の商品にも焦点を当てて展開しているのも強みの1つとなっています。
国内と米国のオフプライス企業の比較した見解
国内のオフプライス企業も認知の向上の兆しを見せており、仕組みも米国のサービスと大きく違う点はないように感じます。
しかし、比較してみると、米国では衣料品を単に低価格で提供する以上に、インフルエンサーを起用しSNS等で顧客とのコミュニケーションを設計するのに優れているようです。また、お手頃でエコなショッピングを「トレジャーハント(宝探し)」を連想させるようにポジティブに発信している点も、米国の人々が購買意欲を高める要因ではないでしょうか。
米国オフプライス事業の展望
今後の勢いが増していくと予測されている、オフプライス企業。2018年度末に、 *1 Burlington Stores Inc. は店舗数を7.3%増加させ、 Ross Stores Inc. は店舗数を5.9%増加させたそうです。 また、*2 inturnによると「16,000を超えるアパレルブランドなどが、3兆ドル規模のグローバル小売市場に参加しているため、過剰在庫は業界の必然的な部分であり、これにより低価格が活気づいている」とも言われています。
AIなどのデータでの在庫管理分析も発展していくものの、小売業にとっては過剰在庫を短期間で消費していくためにも、オフプライス企業は重要な役割を担っています。実際に米国ではオフプライス企業の店舗展開が急激に拡大しておりTJX Cos Inc.は2019年に230店舗をオープンする予定、ロス・ストアは100店舗をオープンし、バーリントン・ストアは50店舗をオープンすることが予定されているそうです。低価格であるゆえにブランドイメージを害するというマイナスな声もまだあるものの、米国では消費者もブランドをお手頃に買うことに対して抵抗がなくなっているようです。
序盤でも言及したように、消費者は価格以上により“夢中になれる購買体験”を求めていることから、「トレジャーハント(宝探し)」型のオフプライスでの消費意欲が今後は高まる兆しとなっています。
*1 S&P Global Marketing Intelligence
https://www.spglobal.com/marketintelligence/en/news-insights/latest-news-headlines/50517428
*2 inturn
https://www.inturn.co/off-price
執筆=峰松 裕子
編集=中原 愛海
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